1994年に公開されたジブリ作品「平成狸合戦ぽんぽこ」。
この作品は江戸時代の伝説を元ネタにして作られていたり、時代背景も内容に沿って昭和40年頃となっています。
また劇中に登場する寺や神社は実在していて映画を見てここだ!と分かるくらい丁寧に描かれています。
この記事では平成狸合戦ぽんぽこの元ネタや時代背景、また万福寺のモデルとなった神社や金長神社などロケ地についてまとめてみました。
平成狸合戦ぽんぽこの元ネタは?
平成狸合戦ぽんぽこの元ネタ① 阿波の狸合戦
平成狸合戦ぽんぽこは江戸時代末期の伝説「阿波の狸合戦」を元に制作されました。
当時の「阿波国」は現在でいう徳島で四国にはたくさんの狸に関する伝説や昔話がありますが、その中でもこの阿波の狸合戦は最も名高いものと言われています。
話の解釈には多少媒体によって変わりますが本筋としてはこのような感じです。
天保の時代(1830年~1844年)、現在の徳島県小松島市日開野町で起こった二大勢力だった狸同士の戦いの話です。
ある日、大和屋という染物屋を営む茂右衛門という人が人に虐められそうになっている狸を助け、それからほどなく茂右衛門の商売は繁盛しだします。
やがて店に勤めていた万吉という人に狸が憑き、自分は付近の狸をまとめる頭株で間もなく206歳になる金長という狸であることを打ち明けます。
金長はお店で人々の病気を治したりと活躍しますが、まだ狸としての地位がなかったため徳島県津田町にいる狸の総大将「六右衛門」のところへ修行に行きます。
優秀な成績を収めた金長を手放したくなかった六右衛門は娘の婿養子としてそばに置きたかったが金長は自分を助けた茂右衛門の義理を守りそれを拒否します。
それに逆上し、金長が持つ力からいずれ敵になることを懸念した六右衛門が金長のもとへ夜襲しに行きます。
金長は応戦したものの仲間を失い、その敵討ちに六右衛門のもとへ向かいます。
この戦いで六右衛門は金長に食い殺され金長は勝利しますが、金長も負傷していたため間もなく命を落とす。
この話は大和屋に助けられた狸が恩返しをしたという物語が由来と言われており、その後ある年に、徳島を流れる勝浦川に多数の狸の死体があった事実が加わりこのような話が誕生したと言われています。
この狸には修験道の争いという人間社会の闘争を投影しているという説もあるようです。
平成狸合戦ぽんぽこの元ネタ② 八百八だぬき
たぬきを主役にした作品を作ろうとなったときに高畑監督は杉浦茂さんの漫画「八百八だぬき」からヒントを得て、愉快で面白いたぬきを描く作品を作ろうと企画したそうです。
「八百八だぬき」は広島を舞台とした作品で城下町や村で悪さをする狸を、仙人のもとで術を身につけた主人公が懲らしめるという内容です。
1959年という今から60年も前の作品になり、映画公開時からしてもかなり昔の作品にはなりますが宮崎駿監督も杉浦茂さんの作品には影響を受けていたそうですよ。
平成狸合戦ぽんぽこの時代背景
作品では昭和40年ごろの時代設定になっています。
この時代といえば敗戦から一気に日本経済が飛躍した高度成長期真っ只中です。
今でこそ環境問題や地球温暖化が叫ばれていますが、この時代ではあまり考えられていませんでした。
一方で急速な工業化による環境破壊で水俣病をはじめとして公害病やごみ問題が深刻化し、人口の都市部集中や地方からの人口流出による過疎化などが問題になった時代でもあります。
今作では主に環境問題や環境破壊について謳っており昭和から平成へと変わっていく時代について描かれているのでこの時代設定になったのではないかと思います。
また都市伝説レベルではありますが、この狸と人間の戦いは労働組合の敗北を投影しているともいわれており、高度経済成長期の学生運動なども含め権力との闘いを描くためにこの時代になったのかもしれません。
万福寺のモデルである聖地や金長神社などロケ地や舞台はどこ?
万福寺のモデルは龍生寺阿弥陀堂
たぬきたちが作戦会議などをしている寺、通称「菩提餅山万福寺」は東京都八王子市にある「龍生寺阿弥陀堂」です。
劇中では解体されてしまいますが現実には今も現存しています。
住所:東京都八王子市堀之内618
こちらの阿弥陀堂の向かいには江戸時代中期の宝篋印塔が建てられているそうですよ。
とにかく分かりづらい場所で駐車場もないので注意が必要ですが、京王堀之内駅から平山方面へ行き、城之内寺沢里山公園を目指すとあるますのでぜひ聖地に行ってみてください。
龍生寺阿弥陀堂と検索すると埼玉県の神社が出てきたりするのでご注意ください!!
金長神社
金長大明神の主と紹介される金長の神社は徳島県小松市にある「金長神社」です。
住所:〒773-0015 徳島県小松島市中田町脇谷
先に触れた伝説「阿波の狸合戦」で落命した金長を祀る神社で1939年公開の映画「阿波の狸合戦」のヒットにより新興キネマが持ち直したので金長への感謝から建立されたという歴史を持ちます。
しかしこの金長神社、現在取り壊しの危機にさらされています!
金長神社含む周辺の再開発の話が進んでいるようで、防災公園として生まれ変わるにあたり、この神社もなくなってしまうそうです。
この問題は深刻でただ再開発という理由だけでなく、老朽化や管理人の後継者不足などを抱えているそうですが、なんとかして守ろうと「金長神社を守る会」というのが発足されています。
ご興味のある方は一度ご覧ください。
多摩丘陵
多摩丘陵というとかなり範囲が広いのですが主な場所を挙げていきます。
・乞田川(護岸化された川)
・聖蹟桜ヶ丘の1番線ホーム(三長老と玉三郎がホームに降りるシーンや改札を出る場面、駅から外へ出てくるカット)
・川崎街道の多摩市関戸地区(オープンカーで走るシーン)
・ベルコリーヌ南大沢(万福寺解体後の住宅街)
・東京都道156号町田日野線の町田市図師町(狸の絵が描かれた動物注意の道路標識シーン)
その他には新宿の花園神社がナレーションのみ登場しています。
たくさんのシーンを思い浮かべながら聖地巡礼の旅をしていても楽しいですね!!
まとめ
平成狸合戦ぽんぽこの元ネタや時代背景は?万福寺のモデルの聖地や金長神社などロケ地についてまとめてみました。
・元ネタは伝説「阿波の狸合戦」
・時代背景は高度成長期真っ只中の昭和40年頃
・万福寺のモデルは「龍生寺阿弥陀堂」
・金長神社は徳島県にあるが解体危機
最後までお読みいただきありがとうございました!
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