風立ちぬで堀越二郎が特高に追われた理由は?カストルプの正体と関連性についても

映画

2013年に公開された宮崎駿監督のジブリ作品「風立ちぬ」。

零戦の設計者、堀越二郎の半生を描いた物語で時代が1920~30年ごろということから解釈が難しいシーンが多い作品でもありますよね。

この記事では堀越二郎が特高に追われていた理由とその原因に関与していると言われるカストルプの正体、またカストルプがしきりに言う「忘れる」に込められた意味についてまとめてみました。

風立ちぬで堀越二郎が特高に追われた理由は?スパイ容疑をかけられた?

菜穂子と二郎が惹かれあう軽井沢でのシーン。

その後なぜか二郎は特高に追われます。

その理由はカストルプの正体と関係していて、彼と接触したからで、簡単に言うとスパイ容疑をかけられたからです!

では詳しく解説していきます。

特高(特別高等警察)とは?

特高とは特別高等警察の略称で、国の政治を維持するためにそれを否定するような者や無政府主義をはじめとする国家に対して過激な思想を持った国家主義者を査察、内偵し取り締まることを目的とした政治警察です。

一般的な警察とは違い、スパイの監視や摘発を専門としており、風立ちぬの時代においては強い権力を持っていました。

また取り調べにおいて拷問し自白を強要したり、市民の盗聴や密告を奨励するなど非人道的な行為を行っており、危険人物や容疑者とたった1度会っただけの人間も捜査対象となったようです。

第二次世界大戦後に廃止されたため現在は存在していません。

なぜ堀越二郎は特高に追われたのか

二郎が特高に追われた理由はスパイ容疑にかけられたためだと先ほど軽くお話しましたが、なぜスパイ容疑がかかったのかというと、この軽井沢で菜穂子とのキューピット役になった外国人、カストルプとの接触が原因です。

後に詳しく説明しますが、彼は特高からスパイ容疑をかけられて危険人物だとマークされていました。

その彼と会話し、またその会話の内容から二郎まで危険人物と思われて結果追われてしまったということですね。

特高は政府を揺るがす可能性のあるとみたちょっとした不穏因子は全て取り締まっていたのでその対象となってしまったんですね。

カストルプの正体やセリフの忘れるの意味は?

カストルプが特高から危険人物とされていたと話しましたが彼の正体は何者なのか?について解説していきます。

カストルプ(クレソンおじさん)の正体はゾルゲ?

植木鉢を食べているかのごとくクレソンを食べまくるカストルプ。

カストルプは実在したスパイ「リヒャルト・ゾルゲ」を描いているのではないかと言われています。

ゾルゲはソ連のスパイでドイツの新聞記者という体で上海でスパイ活動をし、その後、ドイツ新聞の東京特派員かつナチス党員という名目で日本に潜入し最終的には公文書を自由に見られる立場にまでなり、ドイツとソ連での戦いにおいては彼の情報によりソ連を勝利に導くなどスパイとしての功績はかなり優秀なものでした。

しかし特高は外国の新聞の特派員に対する業務の一環でゾルゲに対しても尾行や調査をしており、彼がスパイである証拠をつかみます。

そしてゾルゲを含むスパイ構成員総勢20人が一斉に逮捕される「スパイ事件」という事件が起き、ゾルゲはこの逮捕による裁判で死刑が確定、処刑されました。

風立ちぬにおいて、彼の正体が明確に語られることはないですが、ドイツのたばこを吸っており、「ドイツのタバコ、これ最後」と言った後また同じ銘柄のタバコを吸っていたり要所要所に怪しい動きが見られます。

それらからゾルゲを描いているという説があり、少なくとも彼はスパイであることは間違いありませんね。

そんな彼もまた追われる身で亡命しますが、ドイツ人に扮したソ連のスパイという設定だとすると、特高またドイツから注意人物として追われていたのだと思います。

カストルプのセリフ「忘れる」の意味は?

カストルプの印象的なセリフとして「忘れる」がありますよね。

チャイナと戦争してる、忘れる

満州国作った、忘れる

国際連盟抜けた、忘れる

世界を敵にする、忘れる

日本破裂する

ドイツも破裂する

そしてこの軽井沢を「ここはいい所です。まるで魔の山。忘れるには良いところ」とも発言しています。

これはどういう意味なのか?

これからの行く末を案じていることから、今まで自分たちが行ってきた行為、またそれによって今世界から日本がどのような立ち位置なのかを考えろということかもしれませんね。

この忘れるというのはこれまでの歴史を忘れているかのように無自覚であると言いたいのかなと思いました。

またカストルプはスパイであることからいろいろな内情を知っていますよね。

そのためこれから起こりうる現実や自分の立場などから相当苦しい思いをしていることでしょう。

そのため「忘れるにはいいところ」と言ったのだと思います。

ちなみにこの、魔の山とはドイツ人の小説家「トーマス・マン」の作品にある「魔の山」から引用しており、この魔の山の主人公の名前が「カストルプ」なんだそうですよ。

カストルプのキャラクターの絵はは実在している人がモデル?

カストルプはゾルゲがモデルと言われていますが、その見た目であるキャラクターデザインは実在の人物をモデルにしているそうです。

その人物とは元ジブリスタッフのスティーブ・アルパートさんという方で、家庭の事情により退社することになったときに宮崎駿監督がお礼に似顔絵を描くことにしたそうです。

ですが帰国の日までに満足のいく似顔絵を描くことができず、この風立ちぬの中で登場する形となったようです!

そしてアルパートさんがキャラクターに声を吹き込んだのだそうです。

こんな嬉しいプレゼントはないですよね^^

まとめ

風立ちぬで堀越二郎が特高に追われた理由はやカストルプの正体と忘れるの意味について、まとめてみました。

・堀越二郎が特高に追われた理由はカストルプと接触したことによるスパイ容疑

・カストルプの正体は日本を震撼させた実在のスパイ「リヒャルト・ゾルゲ」

・カストルプのセリフ「忘れる」の意味は無自覚さを揶揄した言葉

最後までお読みいただきありがとうございました!

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