2013年に公開された宮崎駿監督のジブリ作品「風立ちぬ」。
作品は1920年~30年頃の時代、実在した零戦の設計者、堀越二郎をモデルに作られたフィクションとなっています。
現在からなんと100年近い前の話ということもあり、今ではほとんどみない道具や食べ物が出てきたりイメージの湧かないシーンも多いですよね。
この記事では二郎と菜穂子の年齢をはじめ、年表からみる時代背景を解説してみました。
風立ちぬの二郎と菜穂子は年齢差は?結婚期間はわずか半年?
二郎と菜穂子の年の差は7歳差
二郎と菜穂子の年齢差は7歳程度となっています。
公式パンフレットによる解説はこのようになっています。
西暦 | 和暦 | 二郎の年齢 | 菜穂子の年齢 |
1923年 | 大正12年 | 20歳 | 13歳くらい |
1933年 | 昭和8年 | 30歳 | 23歳くらい |
菜穂子はくらいという形ではっきりとしてはいませんので早生まれだのを考えだすと明確にはできませんが、おおよそ7歳差であることが分かります。
二郎と菜穂子の結婚生活は半年
結婚したのは1934年(昭和9年)なのでそのときは二郎31歳、菜穂子24歳となります。
当時の初婚平均年齢は男性27.7歳、女性23.7歳なので、二郎はやや遅めの結婚だったようですね。
その後菜穂子は山へ帰るわけですが、その年が1935年で実は結婚期間が半年程度しかありません。
これもはっきりと明記はないですが、菜穂子が結婚式をしたころはみんなコートを着ていますね。
菜穂子が結婚式で頭に飾った花はサザンカで開花時期は10月~12月。
そして結婚式では風花が舞っていますが、これは初冬に見られる現象です。
そのころから11月前後と推測されますが、その後菜穂子は山に帰り、二郎の零戦のテスト飛行の時期は春、中でも桜か梅が咲いている時期なので3月と推測されます。
そのため二人の結婚生活はわずか半年足らずだったことが分かります。
そう思うとなおさら結婚に踏み切った二人の決断のすごさや、切なさが身に沁みますね。
喫煙シーンが多くてクレーム?時代背景を年表でまとめ
喫煙シーンでクレームや批判殺到でタバコ問題に
映画を見た人なら必ず思うであろうことが喫煙シーンの多さです!
それゆえに公開してほどなく日本禁煙学会が映画製作においてタバコの扱いに留意して欲しい、法令順守をと呼びかける要望書を風立ちぬの製作者に提出し話題にもなりました。
たしかに作品の中では学校やホテルのレストラン内など今では禁煙になっている場所での喫煙シーンが多く描かれていますよね。
さらに一番の反感をかったのは結核の菜穂子の前で吸ったことです。
これには菜穂子が二郎と片時も離れたくないという思いからという背景がありますが、それでも肺疾患患者の前での喫煙に対して問題視したようです。
映画を見た人の中にはそれに同調する人も多い一方でそんなことを言いだしたら表現の自由がなくなってしまう、時代状況やキャラクターの心情の演出が限られるという意見もあり、評価が分かれる結果となりました。
風立ちぬで描かれる昭和初期という時代は両切の紙巻タバコが流行り出したことで新しいタバコが続々と発売された時代のようです。
今作では当時の現状、また二郎のキャラクターを表現する上で外せないシーンだったのだろうと思います。
風立ちぬの時代をモデルとなった人物と年表にまとめ
風立ちぬは実話をもとにしたフィクションとなってますが、主人公の堀越二郎は実在の堀越二郎の半生と、小説「風立ちぬ」の作者である堀辰雄の生涯が投影されています。
そのことでそれぞれ登場人物のモデルがややこしくなっているので年表でまとめてみました。
年代 | 映画のできごと | 堀越二郎と堀辰雄の半生 | 実際の歴史 |
1923年(大正12年) | 二郎と菜穂子が列車で出会う
関東大震災 |
堀:軽井沢へ行く
堀:母が震災で死去 |
関東大震災
結核のピーク |
1925年(大正14年) | お絹からお礼が届く
加代の上京 |
治安維持法成立 | |
1927年(昭和2年) | 三菱内燃機株式会社に二郎就職 | 堀越:三菱内燃機株式会社に就職 | 金融恐慌 |
1928年(昭和3年) | 隼のテスト飛行失敗 | ||
1929年(昭和4年) | 二郎ドイツのユンカース社視察 | 世界大恐慌 | |
1930年(昭和3年) | 堀:肋膜炎により喀血し翌年富士見高原療養所に入院 | ||
1932年(昭和5年) | 堀越:七試艦上戦闘機テスト飛行失敗
堀越:お見合い結婚 |
満州国建国 | |
1933年(昭和8年) | 七試艦上戦闘機テスト飛行失敗
二郎と菜穂子が軽井沢で再会 カストルプと出会う 菜穂子喀血 |
堀:菜穂子のモデル矢野綾子と出会う | 日本が国際連盟脱退 |
1934年(昭和9年) | 二郎と菜穂子が結婚 | 堀:綾子と婚約 | |
1935年(昭和10年) | 菜穂子が山(富士見高原療養所)へ帰る
零戦テスト飛行成功 |
堀:綾子が富士見高原療養所で12月に死去 | たばこのピーク |
1937年(昭和12年) | 堀越:十二試艦上戦闘機(後の零戦)設計 | ||
1945年(昭和20年) | 二郎が夢で菜穂子に会う | 第二次世界大戦終戦 |
このように見てみると映画の堀越二郎が飛行機設計に関しては実在した堀越二郎を、恋愛や人生においては堀辰雄を投影していることがわかりますね。
実際の歴史の出来事も要所要所に登場しカストルプのセリフにも反映されています。
まとめ
風立ちぬの二郎と菜穂子は年齢差とタバコシーンからみる時代背景を年表で解説してみました。
・二郎と菜穂子の年齢差は7歳
・タバコシーン含め時代背景を多く投影している
最後までお読みいただきありがとうございました!
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